先日、ニュースでオリンピックチケットの転売が禁止されているという話題を目にしました。オリンピックの話題以外でも、チケット転売に関する新しい法律ができたり、ヤフオクではチケット類の出品を制限されていたりと、チケットの譲渡は何かと厳しく取り締まられているイメージです。
しかし、行きたくてチケットを取ったものの、事情がありどうしても行けない、不要になったチケットを無駄にしたくない、という場合もありますよね。
そういった場合に、違法と見なされないチケット譲渡のポイントや、違法になるケースはどういった物かなど、本記事ではチケットの転売・譲渡について詳しく見ていきたいと思います。
チケット販売に関する法律上の禁止事項
2019年6月より、「チケット不正転売禁止法」が施行されました。ただでさえ倍率の高いチケット抽選に、転売目的の人までもが加わってしまうと、さらに倍率があがり、本当に購入したい人の手に渡らなくなること、チケットを手にするためには高額な転売価格で購入するしかないという事態を生む可能性を危惧しての法案です。
この法律により、チケットの不正な転売や譲り受けが禁止になりました。違反した場合には、1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が課せられます。
昨年11月には、プロ野球のオールスター戦などのチケット四枚(定価3400円)をインターネットで合計56,500円で転売したとして、全国で初めて逮捕者が出ました。イベント会場付近でチケットを転売する「ダフ屋」だけでなく、インターネットで転売をする個人でも逮捕されるという実例が公表され、オークションサイト等でも取り締まりが強化されつつあります。
転売をした側だけではなく、購入した側も、不正な転売によるチケットでは入場できないイベントが増えています。営利目的の販売者から購入したチケットではなくても、二次販売されたチケットだというだけで使用できない場合もあります。公演中止等による返金事案でも、二次販売のチケットでは適切に返金を受けられない等の危険性も。購入する側も転売チケットには注意が必要です。
チケット販売に関するヤフオク上での違反項目
次にチケットに関するヤフオク上での違反項目を確認してみましょう。
ヤフオクでは2017年より、「転売を目的としたチケットの出品」を禁止事項に加えました。それまでは販売価格の10倍で販売されるチケットもあったほど、チケットの転売は「儲かる」案件で、多くの転売屋の出品がヤフオクにも見られました。しかしこの禁止事項が加わってから、営利目的でのチケットの出品はアカウントの停止や出品停止措置がとられるよう変更されたのです。
ヤフオクでは、チケットの販売そのものを禁止しているわけではなく、転売を目的としていないと判断される場合は、チケットを販売することも可能となっています。しかし、転売目的かどうかの判断に明確な線引きはなく、例え個人的な出品でも転売目的だと判断されれば制裁を受ける可能性もあります。
ヤフオクで転売目的だと判断されないために
転売目的だと判断されないために、最も注意をすべき点はやはり価格設定です。チケットを販売することで、利益を出そうとする出品は転売目的だと見なされる場合もあるため、スタート価格はチケットの販売価格より安い価格にする方がいいでしょう。結果としてかなり元のチケット価格より高くなる場合もあるので、それも見越してスタート価格は安めにしておく必要があります。
出品時の商品説明欄にも、行けなくなったため出品します、といった記載をしておくと安心ですね。
転売のチケットでは入場できないというイベントもあるので、そのあたりも出品前に下調べが必要です。大抵はチケットを購入した際の注意事項説明に記載があるので、出品前に再度確認をしておきましょう。落札者に不安を与えないためにも、譲渡可能なチケットであることも商品説明欄に書き添えておくと売れやすくなるかもしれません。
それでも、他にも多数チケットを販売している実績があったり出品していたりすると、転売目的に見られる可能性もあるので、ヤフオクでのチケットの出品はなるべく避け、やむにやまれぬ場合のみに利用しましょう。
確実に譲るなら公式リセール
東京オリンピックなど転売が禁止されているチケットは、大抵の場合、公式のリセールサイトがあります。手数料等の支払いはありますが、購入した定価程度で譲渡でき、行けなくなったチケットを無駄にする心配はありません。
チケットを購入したサイト内でリセールのサービスを行っているところは年々増加傾向にあり、確実に安全にチケットの譲渡を行うことができます。
先述した東京オリンピックでも、会場や日程の都合上行けなくなったという場合のため、今春からチケットの公式リセールサービスがスタート予定です。行きたかったのにチケットが取れなかった人と、行けなくなってチケットを譲りたい人の正当な譲渡を安全に行うなら、公式のリセールサービスを利用するのが確実です。もちろん、リセールに出したからと言って必ずしも売れるというわけではないので、売れやすいよう行けないとわかったらなるべく早めにリセールに出すこと、どこのリセールサービスを利用するかしっかり検討することが不可欠になってくるでしょう。
公式リセール一例
チケットぴあ
セブンイレブンやwebサイトで、コンサート等のチケットが取れる「チケットぴあ」では、チケット購入の際に引き取り方法として「cloak」を選択した未発券チケットに限り、定価でチケットを譲渡可能。出品者は10%の手数料がかかります。ただし、すべてのチケットが適用できるわけではなく、リセール対象外の商品もあるので注意しましょう。
チケトレ
チケトレ(公式チケットトレードリセール)は、音楽事業団体(音制連、音事協、ACPC)公認の、コンサートチケットを2次売買するサービスです。チケットはすべて定価販売で、本人確認が必要な公演でも、チケトレで発行される購入証明書を提示すれば入場できるのだとか。出品、購入、どちらの場合もチケット金額の10% (3,999円以下の場合は一律405円)が手数料としてかかってきます。
チケットストリート
音楽チケットやスポーツ観戦チケットなども販売されているチケットストリートですが、中でもパ・リーグ三球団の試合チケットや宝塚歌劇のチケットなどは販売元公認リセールとなっています。
販売価格は出品者に一任されているものの、営利目的の出品ではないかチェックされているようで、定価以下のものも多く販売されています。出品者は手数料の支払いはなく、購入者がチケット代金の5%を手数料として支払います。ちなみに、公認リセールなのはごく一部のみで、それ以外のほとんどの物はチケット販売元による公認はされていません。転売不可のチケットは出品できないので注意しましょう。
チケットを売るなら安全な取引を
チケットの転売はリスクも多いですが、適切な方法で行えば不必要になったチケットも安全に譲渡することが可能です。チケットを転売する事自体が違法だというわけではなく、法律的にもWebモラル的にも問題のない転売ならば違法ではないということはしっかり理解しておきたいところです。
売れるのであればなるべく高値で、利益を期待したくなる気持ちはわかりますが、不正な転売と見なされてしまうと元も子もありません。大切なチケットを、自分以上に大切にしてくれる人に渡るよう、正しい方法で譲渡したいですね。